お肉屋さんのソウルフード
コロッケの美味しい肉屋は間違いない。
肉屋のレベルを図る上で、格好の材料はコロッケではないだろうか。
ほくほくとした食感に、ほとばしる肉汁。
スジの食感が遅れてやってきて、肉の風味が余韻を残す。
そのままでも、味変しても美味しい。
おやつにも、おかずにもなる。
最も多くのお客様に、自社製品として味わって頂いているのが
コロッケ。
ここのレベルが、そのまま肉屋の評価になる。
そう言われ、美味しいコロッケ造りを心掛けている。
今回は、うらいのコロッケについて。
原材料
【メークインの場合】
うらい メークインコロッケの中身を大公開!
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・メークイン(北海道産、ブランド指定)
・生の牛肉(90%以上が黒毛和牛、一部交雑牛)
・湯掻いた牛スジ(95%以上が黒毛和牛、一部交雑牛)
・玉葱(淡路島産、ブランド指定)
・上白糖
・塩
・白コショウ
・トレハロース
・スクラロース
以上となっている。(重量構成比順)
次に、製法を見てみよう。
製法
➀ メークインの加熱
うらいでは蒸し器で加熱している。
特に大切にしている事は、蒸し上がりのサインである
香り。メークインが最も美味しい状態を職人の鼻で判別する様にしている。
湯掻いて加熱しないのは、芋の風味を出来る限り消さないためである。
➁ 玉葱の加熱
さっと加熱。しんなりするまでは炒めない。
➂ 生肉とスジの加熱
加熱前に生肉とスジを混ぜ合わせ、粗挽きにしておく。
加熱時間は肉が美味しくなる程度に!長すぎは禁物だ。
➃ 調味料の混合
肉とスジ、玉葱を混ぜ合わせ、調味料を混合する。
この際、冷ましてはいけない。後に芋と撹拌するのだが、冷めると
味が均一に行き渡らなくなる。因みに胡椒の添加は芋との撹拌時に
行う事で、香りが飛ばずまた添加量を抑える事が出来る。
➄ 混ぜ合わせ
蒸しあがったメークインをミンサーで粗挽きにして➃を混ぜ合わせる。
この時、芋は必ず熱いままをキープする。中途半端に冷ましたり、時間が
経過すると風味が飛ぶので。攪拌には専用の機械を用いております。
因みに撹拌は味の均一化が図れたら、それ以上混ぜ過ぎない事も重要だ。
食感が著しく低下し、既製品の様な味と成る。
いいネタに仕上がると、手触りが違う。
➅ 冷却
混ぜ合わさったネタを、出来るだけ熱いうちに出来るだけ早く
冷却する。こういったメリハリは、食品製造における重要なポイント
でもある。和牛うらいでは冷却に真空冷却器を用いている。
因みにこのネタの鮮度にも配慮していて、最長でも1日しか置く事は
ない。けっこうなお肉屋さんが前日仕込みのネタを翌日に衣付け
する場合が殆どだが、うらいはコロッケのネタ鮮度を重視していて、
これが独特の風味となっている。
これでコロッケのネタが完成した。
次は成形に進む。
成形
成形はコロッケ製造の中でけっこう大切なポイントだ。
押しつぶしてしまったり、必要以上の撹拌は製品の食感を損なう。
そこで和牛うらいでは、成型機を圧縮空気で動作し、適度な圧力で
押し出す成型機を採用している。これが美味しい食感の秘密だ。
成型後は衣付けに移行する。
衣付け
熟練者が手でつける衣が最も思想的な状態である事は否めないが、1日
1000個を超える数の手作業では、コロッケ1個が300円になってしまう(;^_^A
そこで出来る限りて作業を再現できるように機械の選定と調整、バッター液の
銘柄や作り方、温度。そして肝心の衣の配合まで、かなりの調整と試作を積み重ね
現在に至っている。バッター液などは、家庭では再現できないであろうかと思われ、
こういった細かい工夫の積み重ねが製品の品質に帰結すると私は考えている。
細かい工夫、うらい独自の取り組みや考え方で言えば、次の点が特徴的だと思う。
熟成
コロッケにおける、最も構成比が高い原材料は、イモである。
お肉屋さん的には、
「○○牛の肉、100%使用!」
など、牛肉の銘柄を前面に押し出す方が好みなはずだ。
消費者への訴求も、私自身こちらの方がやり易く感じる。
ブランドも謳いやすいだろう。
ただ、コロッケにおける中で最も構成比が高いイモが、
適当な品質であればそれで美味しいコロッケを作る事は出来ない。
これが当社会長の考えだ。
そこで、まず大量に入手しやすく、かつ品質の安定している
北海道産のメークインを用いる事とした。更に品質を安定させるために
仲卸業者も指定した。北海道のジャガイモは、ホクレンというJA組織
(かと思われる)が流通をほぼ抑えているらしく、この中から選ぶと
毎回違うものになる。そこで仲卸事業者さんを指定する事で、具体的には
帯広を産地とするメークインの安定入手を実現した。
こうやって入手したメークインを、更に熟成する。
熟成は、イモの糖度を上げ旨味を凝縮する働きをもっている。
そこで、兵庫県のお肉屋さんが共同で利用する冷蔵庫で半年以上
熟成させることとした。
こういった一連の取り組みにより、和牛うらいのオリジナルコロッケが
出来上がる。
美味しいに近道無し。