昨年度10月にふるさと納税の仕組みが再び変わった事は記憶に新しい。

 これまでにも返礼率の変更などが行われ、以前の5割⇒3割

に変更という、大幅な実質値上げ時の駆け込み需要は凄かった。

 昨年度の大きな変更点は、地元産品の概念についてで他の自治体

から仕入れて販売だけを有名な自治体で行う、といったセドリの様な

返礼品は提供出来なくなったなど、変化は改善の方向だったが今度の

返礼品に関する変化は、納税者側から見たら改悪に見えるかもしれない。

返礼率の変更

 今回の変更で最も影響が大きいと思われるのは、返礼率の変更。

加古川市の返礼率はこれまでの30%から、24%へと変わる。

以前と比べたら、あくまで軽微な変更に見えるが当初と比較すると

半分以下になってしまった。

 ふるさと納税返礼品の返礼率に関しては、総務省の取り決めで

最大30%

と定められており、これに違反した場合は取り消しなどの重い

行政処分が自治体に下される場合もある。

 この最大30%に加えて、ふるさと納税の募集に関する費用の総額が

納税(寄付金額)の50%まで

という新たな取り決めがなされている。この数値は本年度中に達成

する事が総務省から各自治体に求められており、加古川市もそれに

習う形で令和6年6月頃より変更となる。

 この寄付金額の50%まで、には以下の費用が含まれ

.

➀ 寄附金に係る受領証の発行事務に要する費用

② ワンストップ特例に係る申請書の受付事務に要する費用

➂ ふるさと納税以外の業務も兼任している職員に係る人件費のうち、ふるさと納税に関する
  業務に係る費用

➃ ポータルサイトの運営事業者に対して支払う費用

➄ ふるさと納税に関する様々な事務を委託するために事業者に対して支払う費用

.

るとされており、加古川市の場合はこれらの費用を含めると50%を超してしまう

との事。よって、24%が加古川市における返礼率の上限となる。

 これ、先ほどから加古川市と書いているのは、自治体により十分返礼率が変わる

可能性があるという意味を込めて書いている。もっと規模の大きい自治体で、かつ

寄付金をたくさん集めている自治体は、経費に関し交渉して費用を抑える事が可能だろう

し、なんなら営業で「うちはあちらさんよりお安く出来ますよ?」なんて事も十分考え

られる。まあ、入札制度だったりプロポーサルが行われるはずなので、ある程の監視

はあるだろうが今後は市政などの外注先(中間事業者などと呼ばれている)による競争

が激しさを増すと考えられる。

 ただ、あくまで返礼率の最大値は30%には変わりなく、各自治体の差は数パーセント

の範囲に留まるのは間違いないが、この数パーセントが大きな影響を及ぼすのではないか

と私は見ており、実際の影響は全国的に出揃う夏頃になるまでははっきりしない。

比べてみる

 活字で見ると、判りにくいかもしれないので数値で表してみよう。

下の表は2パターンを想定して作成した。

 こうやって数値にしてみるとハッキリする。足った6%と侮ることなかれ、

このようにかなりの差が出る。これは影響が出ない訳がない。相当、お得感が薄れてしまう。

加古川市には、この返礼率を1%でも多く引き上げる努力をして頂きたい所だ。

しかも、この返礼率に関しては総務省が1年に1回、費用総額が50%以下になっているか

を必ず確認するそう。つまり、本年度は24%だが来年再来年は都度見直され、現在の

市況から鑑みれば実質的な値上げは避けられないものとみえる。

変化に対しての心構え

 我々、返礼品を提供する事業者からすれば”寝耳に水”的なお話しで、更に

来年以降は”泣きっ面に蜂”という事態が起きうる状態である。

 しかしながらふるさと納税仕組みはあくまで税金。義務を果たして、その分

少しだけお得に過ごせるというおまけ部分。この返礼品提供が主たる事業と

している事業者からみれば、大きな変化で社運を左右する出来事だろうが、

この変化を好機と捉え、進化できるかがカギとなる。仮に返礼品で人気のある

事業者ならば、市場で競争して勝ち残ることも問題ないはずで、こういう

流れは、「受け入れて、先に取り組んだもん勝ち」であると私は考えている。

.

税金だもの

 進化する必要性と共に、こういった課題には視座の高さも必要になると

考えている。ふるさと納税とは、あくまで税金。その運用にあたり、仮に

自治体が赤字を出すとどうなるだろうか。公共サービスの質は低下し、

自らの住むわが街が弱っていく。

 そんな事態は見たくない。

 もっとも、加古川に関しては、実は言うとすでにふるさと納税事業で赤字

を出しており、これまで事業者だけがその恩恵を受けていたという訳だ。

いつまでもその立場に甘んじていて、良いのだろうか。

 量や価格だけで判別される時代など、とうに過ぎているはずだ。

もちろん、そういう需要が有るのは間違いない。しかし、商品力や

会社の持つ魅力で勝負する事は十分に可能だと考える。

 確かに返礼率の影響は、少なくないだろう。お得な返礼品に人気が集まり、

加古川は窮地に立たされるかもしれない。しかし、この変化を好機と捉え、

したたかに、かつ力強く進化する事業者に溢れていると、私は信じたい。

そして、その先頭を走っていたい。その為の準備も進め、6月頃には和牛うらい

の新たな返礼品も6種類ほどリリースする予定だ。

私はこのように考えている。

 

 

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