あれは幼稚園に通っていた頃だろうか。当時の私は祖母と2人暮らしをしていた。
ある夏の暑い日、公園から家に帰って来ると、祖母がナスビで馬の様なモノを作っていた。
厳格な祖母が、食べ物で工作している・・・!!!!!
と、私は勘違いをしてしまい、何かおかしくなってしまったのではないかと、
心底心配したのだ。しばらく見ぬふりをしていると、今度はキュウリが
同じように扱われ始めていた。
もう駄目だ。
何故か、幼き私は思った。祖母は、おかしくなってしまったのだ。
狭いアパートの台所にある食卓で、一心不乱に野菜工作する祖母。
「食べ物を粗末にしたらあかん!」
常日頃より、口が酸っぱくなるほど言い続けていた祖母。
その祖母が、自らその取り決めを破っているかのように見えていた当時の私は
その日の夜なかなか寝付けなかった。
次の日、朝のお経の時間に仏壇を見ると、例の野菜馬が飾られていた。
この仏壇には、
「まさき(私の名前)のおじいちゃんとお姉ちゃんが居るんや。しっかりお経唱えや。」
と、常日頃から言われ続けていた。
なるほど!私は、
「そうか、なるほど!2人の乗る奴や!だからナスビとキュウリの2つあるんや。」
と謎の解釈をした。
昨日までの不安はどこかに消え去り、2人分乗り物作ってあげるなんか、
あの鬼婆でも優しいところ、あるやん( ´∀` )。僕の三輪車は買ってくれへんけど。。。
なんて、不満も胸に秘めながら。
何日か経った後に、ふと気が付くとあのナスビとキュウリは何事も無かったかの
ように姿を消し、私が記憶している初めての盆はこうして終わりを告げた。
(※ 確か、冷やし中華と煮浸しとなって私の晩御飯になった記憶が。)
精霊馬の正確な意図を理解するのは、これから随分と先になるのだが(笑)