私は肉職人になってから20年ほどになるが、現在の物価上昇は今までに経験のない幅だと感じている。
値上がり品目は多種に渡り、私たちの業界のみならず、日本経済全体に多大なる影響を及ぼしている現在の状況。
製品の原価が上がれば、利益を確保する為に値上げや量目の調整は、企業にとって必須となるがすでに量目の調整に関してはやり尽くしてきた感がある。こうなると原料調達の見直しか、値上げしか打つ手は無くなってくる。
ただ、原料調達に関して言えば輸入品なら円安の影響により、意味はなさないかもしれない。今までの価値が急に為替の影響で、1割も2割も変動するとなると製造計画も立てにくい。まさに今の現状は八方ふさがりの状態だ。
因みに量目とは、判りやすく言えば”1袋の内容量とその価格”で、お肉屋さんで言えばソーセージやハムなどが判りやすいだろう。バイエルン1袋500円みたいなやつだ。この袋の中身がこれまでは300gだったものが、250gになれば実質的な値上げとなる。
まあ、いきなり製品重量の20%近くを変えてくるなんてことはそうそうないが、この数年で量目は随分と変わってしまっている。5年でみれば、20%の値上がりは畜肉製品であれば起きているだろう。それぐらい原価が上がってきている。
が、この量目の変更に関して言えば恵まれている。1袋幾らという、金額の部分に注目されがちである為値上がりは気が付きにくい。私達のような、100gあたり幾ら、という金額がモロに見える業種は厳しいと感じる。いつものお肉が、10円値上がりしてもお客様は敏感だ。値上げに値する営業を続け、お客様に理解し受け入れてもらえるように、常日頃から励んでおかなければならないと考えている。
こういったブログを書くのであれば、実際にどのぐらい原価が変わっているのか、10年前と何が違うのかせっかくなので調べてみる事とした。
驚異の値上がり
何が比較対象に良いかと考えを巡らせてみて、体感的にこれが一番値上がりしていると感じた。
植物油
2011年より調べてみる。2011年を1とすると
2011年~2015年 ほぼ変わらず、時に下落
2016年 微増
2017年 微増
2018年~2020年 ほぼ変わらず
2021年 微増
2022年 増加 1.4
2023年 驚きの値上げ 1.8超
おお、なんと80%の値上がり(笑)いやこれ、いくらなんでも上がり過ぎやろ。
我々が仕入れる場合、1斗缶のため、もろに値上げを感じるが、一般コンシューマー向け製品を調べてみると、10年前は1.8l入りだった製品が、現在はななななんと900mlになっているではありませんか。
ほぼほぼ値上げを量目で吸収していたとは。包装や容器も新たに作り直したとみると、この流れは止まりませんね。これからどうなってしまうのでしょうか。。。