競り市当日の様子
さあ、それではオークション当日の様子を。競り市当日の私に与えられた役割は、世界の方々に日本の美味しいコロッケとミンチカツを提供する事です。果たして日本のお肉屋さんソウルフードは世界の方々に通用するのか。期待と不安でワクワクしていました。
そもそも私たちが出店するきっかけはエスフーズの平井専務のアイデアとご依頼から。オークション終了後に、和牛マスターのすぐそばを流れる市川の堤防に咲く、桜を見ながらお食事を楽しんでもらう”花見の宴”にて、提供すれば喜ばれるだろうという事からです。午後12時半の開始に間に合うよう、午前10時頃に到着。設営と準備、本日の揚がり具合を確認した後、他の出店者さんへご挨拶。今日は、東京は人形町から”今半”さんや、和牛マフィアさんが出展されていました。他にも地元の仕出し屋さんや、蕎麦屋さんが居を連ね、受け入れ態勢は万全。ドリンクはサッポロさんとキリンさんがいらっしゃっていました。
私は準備が整ったので、オークションの様子を伺いに見に行ってみる事にしました。和牛マスターで行われる競り市は、インターネット上でリアルタイムで視聴できるのですが、現場の熱気を見てみたかったのです。会場は3階ですが、アクセスは5階からとなっており、エントランスに向かうとSPの姿が。この巨大なイベントを大臣や国会議員が見に来ている為です。要所に配置されたSPは、フロントボタンをはずしており、これは恐らく不測の事態に備えて、携帯されている武器を素早く取り出す為だと感じました。またエンジンがかかっており、いつでも発車出来る状態の車も数台待機していて、映像の中でしか見る事の出来ない、VIP警備の一端を覗き見る事が出来ました。
会場に向かうエレベーターのドアが開くと、熱気がもう伝わってきました。ガイダンスの途中に、沸き上がる歓声と拍手。落札されるたびに、落札者と国名がアナウンスされ、これまで私が参加してきたどの競り市とも比べようが無いレベルの盛り上がりを見せていました。今回オークションへの出品は100頭。このオークションへ出品する為に、なんと200頭以上の牛を屠畜し、厳選に厳選を重ねたと担当の部長は仰っていました。またBMSナンバー(ビーフマーべリングスタンダート)脂肪交雑等級は軒並み最高点(なんと全体の70%以上!!)の12点ばかりと、生産者さんの気合と意気込みを感じました。余りの混雑ぶりに、長居は出来ないと思い、帰りの途中総務大臣さんとすれ違い、「あ、TVで見たあの人や。」とありがちな感想を思い浮かべながら会場を後にしました。会場に戻り、暫くするとこれまでにないスケールを見せた競り市もようやく終了。
ようやく私の出番がやってまいりました!次から次にやってくる海外の方々。皆さん、最初は何を食べようかと少し悩んでいる感じでしたが、やがて思い思いの食事を選ばれていきます。さあ、私たちのコロッケは喜んでもらえるのか。
「これは何?」ようやく1人目の方が声を掛けて下さいました。「これはコロッケという料理です。日本のお肉屋さんでは一般的な食べ物ですよ。」「神戸ビーフとジャガイモを揚げています。」付け焼刃で勉強した英語で説明してみます。フーン、的な表情で手に取り、口へ運びます。
どっくん
どっくん
どんな感想を頂けるのでしょうか。。。
「アメージング!!!!」 最高の誉め言葉を頂く事が出来ました。そして、次から次へコロッケとミンチカツが減っていきます。そんな感じで私が揚げ物に夢中なころ、日本の有名な実業家、ホリエモンこと堀江貴文さんが競り市から戻られ、自社の和牛マフィアの前では沢山の人だかりが出来ていました。あの一人前2万円という、有名なビフカツサンドも恐らく早々に売り切れのはず。彼らは他の出店者の商品を食べながら、お得意のセリフをキメています。「いってらっしゃい!!」彼らは私たちのコロッケを食べながら、通り過ぎて行きました。勿論、ここでも「あ、TVで見たあの人や。」と思いながらでしたが、揚げるのが忙しくてそれどころではありません。そうです、心配していた売れ行きは絶好調。私達の日常取り組んでいる仕事は、海外の方々に評価してもらえたのです。こんな嬉しいことはありません。ド派手な競り市の陰で、日本のお肉屋さんが凄く小さな満足を得れたイベントでした。
