今回のジャパンビーフフェスティバル(JBF)において、間違いなく最大の目玉の一つであり、
最も多くの行列と笑顔を生み出した企画——。 それが、加古川食肉公社様が主催された
「加古川牛 無料試食2,500食」です。
「2,500人分の和牛を無料で振る舞う」
言葉で言うのは簡単ですが、その舞台裏には、ただの「イベントの仕出し」とは到底呼べない、
狂気的とも言える職人のこだわりと執念を詰め込みました。
1. 始まりは深夜の「肉選び」から

今回提供したお肉は、地元が誇る「ヒライ牧場」の丹精込めた加古川牛です。
この2,500食のために、私はヒライ牧場の平井社長と深夜まで膝を突き合わせ、
冷蔵庫の中で2人、一頭一頭の個体と向き合いながら「これぞ加古川牛」という極上のお肉を
選び抜くことからスタートしました。
「これはどうやろ?」
「次の屠畜は、何日やから、、、」
「この牛は?」
「部位は、これと、これと、、、」
無料だからといって、端肉や妥協した肉を使う気は、お互い一切ありません。
「初めて加古川牛を食べる人にも、一口で感動を与えたい」。
2人ともその想いだけで、深夜の冷蔵庫、寒さの中、職人と生産者の熱い目利きで火花を散らしました。
2. 美味しさと、現場のオペレーションを両立させる「加工・熟成技術」
こうして選ばれた肉を、最高の状態で2,500人の方に届けるため、ここから
「うらい」の加工技術が本領を発揮します。
- 2段階の熟成管理 ⇒屠畜後、まずは部分肉のまま1か月以上の長期熟成を施して旨味を極限まで凝縮。その後、余分な脂や筋を削ぎ落とす「肉磨き」を行ってから、さらに1週間の熟成を重ねました。
- ドリップ処理とマイナス1℃の氷温保存 ⇒熟成過程で出やすいドリップ(旨味成分を含む水分)を制御する特別な処理を施し、マイナス1℃という肉が傷まない限界の温度帯で保存。肉の鮮度とジューシーさを完全に閉じ込めました。
- 無駄を削ぎ落とす「歩留まり向上の目利き」 2,500食という途方もない量を、限られた予算の中で高品質に届けるため、肉の歩留まり(利用できる割合)を最大限に高める高度なカット技術を全開にしました。
3. 高校生でも最高の一皿が焼ける「計算し尽くされた設計」
今回、現地で鉄板に向かい、2,500食を焼き上げてくれたのは
兵庫県立農業高校の生徒さんと教員の皆様でした。

プロの料理人ではない高校生たちが、大行列の中で素早く、かつ焦がさず最高の状態で提供
できるように、カットには緻密な計算を施しています。
- 厚さへのこだわり⇒鉄板の上で、火が通る最適解の制御を意識しました。美味しさは損なわずに、調理時間を短縮し、行列を出来る限り滞らせないように配慮。
- 同じ形状への均一カット⇒歩留まりは落とさずに形を統一することで、焼きムラを排除するように心構えました。誰が焼いても「美味しい加古川牛」に仕上がる設計です。
- ドリップが出ない加工⇒鉄板に余分な水分が出ないため、肉本来の旨味が逃げず、鉄板の温度も下がりません。これも調理時間の短縮と、焦げが生じにくく味の均一化に役立ちます。
こういった職人の前処理、配慮があるからこそ、高校生たちの純粋な情熱がダイレクトに火入れに
伝わり、最高のお肉として来場者に届けることが出来たのではないでしょうか。
4. 大阪の老舗出汁問屋×万博モデル「旨出汁柚子塩」
そして、最後を締めくくる味付けにも妥協はありません。
今回の試食で使用したのは、大阪の老舗出汁問屋様と、関西・大阪万博への出展を機に
共同開発した『旨出汁柚子塩』です。
加古川牛の上質な脂の甘みを引き立てる、豊かな出汁のコクと、後味を爽やかに締める柚子の香り。
このスペシャルな調味料が加わることで、一口食べた瞬間に「これが無料!?」と誰もが驚く焼肉
が完成しました。
ご興味のある方は、加古川市内だとパルプラザさんにお取り扱いがあります。
大阪・関西万博ひょうごFPフェス2025出展 | 肉のまちづくり推進協議会
情熱のバトンがつないだ2,500個の「美味しい!」
加古川食肉公社様、ヒライ牧場の平井社長、焼き手を務めてくださった兵庫県立農業高校の皆様、
そして万博を契機に実現した、出汁問屋様とのコラボレーション。
地域の生産者・行政・学校・職人が一つのチームとなり、それぞれのプロフェッショナリズム
を持ち寄ったからこそ、この「2,500食」は達成できました。
これって、書いていて今気が付きましたが、産官学連携でしたね♪
「美味しい!」と目を見開くお客様の顔、誇らしげに肉を焼く高校生たちの姿を見ながら、
私は改めて確信しました。 私たちが作っているのは、ただの「肉」ではありません。
地域が誇る肉文化の未来そのものなのだと。

ご協力いただいた皆様、そして召し上がってくださった皆様、本当にありがとうございました!

