先日、和牛のペアリングに関し問われることがあった。

 飲食店勤務経験のある私としては、これまでの経験から

赤ワインを合わせる事と、ワインの特徴と肉の部位について

説明した。

 のだが、どうもありきたりな回答で、お話の途中で逆に

質問者へ、「ではご自身はどのようにお考えなのか?」

という失礼ながら逆質問を。

 すると、「私、お酒飲めないんですよね・・・ヘヘ」

という回答が返ってきた。

.

 うん、プロとして失格やわ、俺。

 私もお酒が飲めないので、まあペアリングを進められると

すいませーん、僕、お酒飲めないんですよね。。。

という雰囲気になりなんとも言えない空気になる事もある。

 牛肉=アルコール

という、自分自身の中にある知識だけに縛られず、お客様1人1人

に寄り添う事が出来てこそ、真のプロであると言えよう。

それが出来ないうちに、私は知識がある、肉に詳しいと

自惚れていた自分が情けなく感じてしまった。

更に言えば、自分と同じ境遇の方に対し、自身の体験を棚に上げ

同じ気持ちにさせてしまったという、経験から何も学んでいない

阿呆ぶり。

 しかし、気づきもあった。

 ノンアルコールしか摂取しない場合や場面、アルコールに頼らない

ペアリングの可能性について、考えておく必要がある事に。

 ここでまず自分の経験などから考えてみる。

先ほどはこの範疇を有効に活用できていなかったが、今度は違う。

 お酒を飲まない私の場合、外食中は主に炭酸水を飲んでいる。

炭酸水も様々な種類があり、天然物などはミネラルを豊富に含む

硬水の場合が多いのだがまずは市販の軟水に二酸化炭素を注入して

作る者の場合から考える。

 ほとんどの場合、氷を沢山居れたジョッキになみなみと注がれて

頂く場合が多いが、知り合いの飲食店で注文する場合、私は氷を

少な目、或いは無しで注文する。これはお腹が弱いという、男に良く

あるあるのやつ対策で、は無く飲料の温度が低すぎるせいで味が

感じにくくなる気がする事や、口の中をリセットする能力、肉に例える

なら口の中に残った脂肪分を除去する能力が、低くなると感じている事に

よる。

 ただ、口の中をリセットするという行為そのものが私は少し疑問というか、

疑念を持っていて”何をもって、口の中ががそう感じているのか”については

しっかり検証しないと解らないのではないか、と考えている。

 これは、例えば口の中にある脂肪分を減らす、という行為なのであれば

香りを移動させるのか、物理的に脂肪分が口腔内から飲料と共に食道へ

流されていくのかなど、考えるべきことが多いためだ。

 アルコール飲料はアルコールや成分、例えばタンニンなどの

ポリフェノールがその役目を負うと言われているが、仮にそれがアルコールの

作用による、脂を落とすような機能についてを述べているとすれば、本当に

アルコールに、口の中で留まっている時間でそのような力があるのかを調べたい、

という感じだ。

 こうやって考えると、如何に奥行きのある世界なのかが判って来た。

肉を語る上で、共に飲食するものとの相互作用について知らないのは、

肉を活かし肉を語る職人として、行う必要があると考えるに至った。

 まだまだ判らない事が多い上、飲料の種類は無数にあり、全てを試し

知る事は難しいが、手始めにノンアルコール飲料の組み合わせ、ペアリング

についてこれから調べて試していこうと思っている。

この議題は、1回ブログで書いた程度では全く済まない。

これからしっかりシリーズ化して書きとどめて行こうと思う。

 

 

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