.

 肉の目利きは職人の腕の見せ所。自分の思った通りの肉を

見極め、想像通りのお肉を仕入れる事が出来た時の喜びは、職人の醍醐味の1つであると

感じている。

.

 さて、貴方は見た目だけで肉の品質が判るのか?

と、疑問を持たれるかもしれないが、答えは「可」だ。

.

 どんなお肉を”是”とするかで、選ぶ基準は変ってくるが、今では自信を

持って私は仕入れる肉を選んでいる。今では、という事は、それまでは

試行錯誤の繰り返しでもあった。

 うらいでは、仕入れに独自の基準を設け、それに基づき仕入れを行っている。

この基準を制定したのは、うらいが仕入れで1番大切にしている

【このお肉、美味しい!】

 と思わず口にして頂ける、の実現の為なのだが、では美味しいお肉を

仕入したいのは、うらいだけが思っている事では無く、他のお肉屋さんも

そう思っている。そんな中、誰が見ても判る良いお肉を競り合えば、

うらいのもう1つのこだわり、リーズナブルに美味しいお肉を提供する事が

出来なくなってしまう。

 そこで、見た目のブランドや情報に惑わされることなく、自分達が

理想とするお肉を仕入れるために基準を設けたのである。

 先ほど、競りのお話しを少し出したので補足。

.

 うらいでは、仕入れる牛肉の50%以上を枝肉という、骨付きで仕入れしている。

枝肉は競り市にかけられ、買参人という枝肉を買う事の出来る権利を有した人たちが

集い、一番高値をつけた人の元に行く仕組みとなっている。

 つまり、誰が見ても美味しいと判るお肉あれば、高い値段が付きそれはお客さんへ

販売する価格に影響する事となる。

.

 その競り市の中で、出来る限りリーズナブルに自分達の理想とするお肉を仕入れる

為の基準がうらいの基準である。

 因みにうらいの設けた基準とは、以下の通りである。

.

❶月齢30か月以上

❷枝肉重量450kg以下

❸未経産の雌牛

❹肉質及び脂質

❺肉の照り

.

 以上5つの基準を満たすものを仕入れる事としている。

各々の基準には、それぞれきちんとした理由があり、科学的に証明されている物や

経験則からくるものなど様々であるが、いずれ全ての項目で、経験からくる主観的な

思いだけではなく、客観的な数値を定数的に出していきたいと考えている。

 これが神戸大学と共に共同研究する大きな理由の1つであるが、この主観的な経験則

を数値化する事が非常に難しい。

 5つある基準の内、❶~❸については客観的事実であり、競り市によっては

事前に確認可能である。つまり、❶~❸を満たした、❹と❺をどう見極めるか、

がうらいにとって重要な部分となる。

 この2つこそが、うらいが考える目利きと言っていい。

 ❹の基準、肉と脂の質を見極める情報は、ズバリ、”色”。

 色の項目については、肉の等級を決める日本全国統一の基準にも

1から8までの基準があり、4が平均値で高評価となっているがこの

4という評価だけでは表せない、奥深いものがある。もし、私が目から

得ている肉の色、赤い色を数値に置き換えるのであれば倍は必要だろう。

それぐらい私は色に対する評価を重視していて、先ほどの点数でいうと

4.5~4.9ぐらいの間が経験則的に良い。

 で、この色に対する評価は脂にも適応し、真っ白の脂は旨味が無い。

融点も高いし、クドい。脂も同じ点数で評価されており、1から8で4の

中間が最も高い評価としているが、私は5の手前辺りが一番美味しいと

思っている。

 つまり、標準とされる評価より少し濃い色を私は良い、という評価を

下している事になる。肉の色は美味しさに直結する評価だと私は考えている、

次回に続く

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です