トウガラシ 傷跡無し磨き
いやはや、何とも小っ恥ずかしいタイトルをつけてしまったので
あるが、私とてまだ道半ばながら努力の跡を残す、備忘録的なもので
あるとまずは先に言い訳しておく。
さて、トウガラシを傷跡1つ付ける事無く、磨き上げる為の手順を
今の時点での最良として示す。しつこいようだが、あくまで現時点で
ある事は再度申し上げておきたい。
➊ カブリの脂を大胆かつ慎重にめくる
まずは本体を倒す前にカブリを美しくめくる処から始めよう。
このカブリは枝肉の状態により、スミが入っていたり、乾いていたりと
磨きが意外と難しい部分だが、自社の取り決めに沿って、こういった部分
こそしっかりと技術力を発揮していきたいものだ。
単に剥がして小肉にしていまうだけでは、肉職人たるもの満足出来ないのだ。
➋ 脂を本体から剥がす
「いやいや!単純な作業やん、いちいち文書にせんでもいいやん。」
と、思ったそこの貴方はまだまだ必殺技の習得には程遠いと言わせて
貰おう!( ・´ー・`)
?
脂の剝がし方、そんな語れる内容ある?
ええ、在りますとも。
肉を磨くうえで、最も大切な技術である
”肉のスジ目を読む”
という行為があるが、それは脂を剥がす上でも重要となる。
剥がす方向をスジ目に逆らえば、以後のスジを引く行為に悪影響が
出るからだ。些細な事かも知れないが、美しい肉磨きとは、細かな技術
の連続と積み重ねにより仕上がる仕組みとなっている。
❸ 表面のスジと骨肌を引く
骨肌とは、骨と身の間にある硬い膜でスジとはまた異なる性質が
あり、例えばこれを煮込んでも柔らかくはなりにくい。この骨肌は
とても固く、身に残してはいけないので、まずこれを繊維に沿って
取り除く。繊維に沿わず、逆方向に取らなければならない場所もあるが
ここでも基本に忠実に作業を進める事が大事だ。
骨肌が取れたら次にスジを引いていく。左右の別で引き始める場所が
異なるのと、筋引きで最も大切な
太い(分厚い)方から始める
に忠実に行う事をすれば問題ない。但し、繊維方向が肉の見た目と異なる
場所があり、これを考慮した上で包丁を入れないと身を削る事となる。
うまく這わせれば一枚に繋がった状態でスジを引けるだろう。
銀色に見える筋を取り除けば、周りにほんの薄くついている
スジは後から取り除いても良いが、私は逆の順番で行っている。
順番的には
➀骨肌 ➁薄い筋 ➂銀色の筋
という具合に磨いていく。薄いスジの順番が逆の場合が
銀色の筋が一枚で取れない事があり、この順番としている。
❹ 分割
いよいよ核心部分、分割だ。
左右の別により包丁を入れる部分は異なるが、まずはトウガラシの太い
方から、頭の部分5cm程を見えるように包丁を入れる。もちろん、逆引き
などを駆使してスジに肉が付かないようにしなければならない。スタートが
正しくないと、その後の筋引きが美しくなくなる。
スジの頭を5cmほど露出させたら、次にその露出を徐々に
切り開いていく。右側であれば、手前側に逆引きで包丁を進める事となる。
この時に、ここが最も大切なポイントだが切り開いて見えてくる中の筋繊維
の方向と同じ様に包丁の切っ先を入れていくようにする事と、切っ先がけして
肉に対し入らない様に、1ミリ程度の深さを維持しつつ切り裂き、次の包丁を
入れる時にまた筋繊維の方向と同じ様に正しく、かつ前回の軌道と同じ場所を
進むイメージを完遂する事が不可欠となる。
これを繰り返していくと、最終的にスジが終わり筋肉だけになるので
繊維に無理をさせて裂けないように切り開き、完了となる。
活字だけで書いてみると、恐らく私自身か、あるいはトウガラシを
著しく拘って磨く人、のどちらかしか解らないような文章になってしまったが、
「川村より綺麗に磨けるぜ!」
「わかりずらい文章ばっか書き連ねて、ごたく言ってんじゃねえ!」
と言う方は、是非トウガラシの写真を添えてこの記事に書き込んで下さい。
挑戦をお待ちしております<(_ _)>