「どうぞ!特選ハラミお待たせしました~!」

 店員の女性が元気にお肉を届けて下さった。

 「凄い美味しそうですね~!」

 「早速焼きましょう!」

 「めっちゃ美味しい!!やっぱりハラミは美味いですね~♪」

.

 先日、出張先で知り合いと食事に行った時に思った事。

 私は東京にある某焼肉店に来ていた。それなりに有名店らしい。

久しぶりに会う知り合いが案内してくれたこのお店。

 有名店の名に恥じない繁盛ぶり。雰囲気の良い内装と、良く行き届いた接客。

味も確かに美味しかった。

 話も盛り上がり、とても良い時間だった。私の職業に合わせ、せっかく久しぶりに

会ったのだからと、入念に探してくれたそうだ。

 ありがたい。

 で、題名のなんだかなぁ

についてなんですが、なんだかなぁと思った事がありまして。

それは、「部位名」の表示が違う、という事。

この日、ハラミとして提供されていたのは、同じ内臓肉のサガリだった、

という、まあ不満では無いのだがちょっとしたズレから、そういえばと

思い出した事の方が題名に繋がる気がする。

違うやん

 世の中のかなりの数の焼肉屋さんが、メニューに表示している部位名と

実際に販売している製品に用いる部位名がまあ違う。

先ほどの”ハラミ”を”サガリ”で販売しているのはまあ良いとする。

殆どの人が気づかないと思うし、もしかするとお店によっては

同じ扱いをしているかもしれないし、ハラミとサガリは似た特徴

を持つ内臓を動かす筋肉だ。言ってみれば兄弟みたいな部位。

 私が問題とするのは、兄弟どころかおじいさんとひ孫ぐらい

離れているお肉を出してくるお店。

 例えば、”ロース”。まあ、まともにロースを出してくるお店

はなかなか無い。酷いお店だと首を出してくる。首とは、肩ロースに

ついている業界では通称、”ネック”と呼ばれている部位で、まあ確かに

肩ロースの一部ではあるがここをロースで出してくるお店は肉を

知らなさ過ぎてヤバイ。

 これは序の口。

 ハラミなんて人気部位は、更に多くの肉で偽装(?)されている。

最近多いのが、”ムカデ”と呼ばれる部位をハラミで出してくる事。

ムカデは肩にある肉で、1頭辺り1kgも取れない希少部位。

なんだが、評価は安い。最も安いと言っても過言ではない。

なぜ安いかというと、小さい。そして薄い。肉らしい肉はほとんど

取れない。正直言ってうらいではコロッケの原料だ。

 が、薄く削ぎ切りするとなんとなくハラミっぽく見える。

あくまでなんとなく、ではあるが。

 次にハラミに化けて出てくるのがケイチョウ筋。

肉屋界隈では”ヒモ”なんて呼ばれている。

こいつも安い。肩ロースに付いてくる肉で、頚椎に巻き付く

形である筋肉。これも削ぎ切りするとなんとなーく、

ほんまになんとなーくハラミに見えなくもない気がする気がする、

程度の見かけだが化かして出てくる。

 ハラミに化けて(化かして?)出てきた肉はまだある。

先ほどまではまだ許せる(個人的に)が今回のはダメだ。

それは”メガネ”と呼ばれる部位。

メガネも・・・・安い。んで赤身。こいつも削ぎ切りしたら

まあ、見た目は似てないけど、似てないけどハラミで出てきた。

 この化け肉3兄弟は共通点がある。

それは、総じて安い。で、小さい。

こんな小さい肉を、焼肉に切るのはある意味大変だ。

時間が掛かって仕方ない。この3兄弟を巡り、焼肉屋さんでは

確保合戦が起きているという。小さい肉を巡り、ウチに回してくれ!

いやウチに!って、ちゃんと部位使わんかい!!!

と出会う度に思っている。

 昨今の赤身志向で、牛肉の需要構造が大きく変わってしまった。

その昔はサーロインなどの高級部位は、専門で流通させる卸売業者

が居たほどで、肉屋さんにとってみれば、憧れ。

ロースが売れてこそ1人前のお店や!

なんて格言?があったそうだが、それも今は過去の話。

嗜好の変化や消費の減少、30年続いた経済の低成長で消費は

変わってしまった。現在の日本では、サーロインなどの高級部位は

海外輸出して在庫バランスを保つ状況になっている。あとはインバウンド

による消費と。

 このように、国内に余っている部位をしっかり消費出来るお店作りが、

良い品質の牛肉を手に入れるために必要となっている。

方や、部位名をなんとなく誤魔化し人気部位として販売しているのを

見てしまうと、なんだかなぁとなってしまうのです。。。。

下の写真は参考までに。

中央のお肉が メガネ
中央のお肉が ムカデ

最後がケイチョウ筋

 

 

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