○○流 

 いつ頃からだろうか。技術や経験を次の世代に伝える事を意識する様になったのは。

 肉屋の仕事は技術の連続だ。塊の状態から、食べれる様にするまで、様々な刃物を

駆使して切り出していく。牛丸ごと1頭分を、正確に切り出して製品化出来るまでには

長い年月を要する。それも会社によってやり方が異なり、これが正解だ!という答えが

1つではない。私達のスタンダートも、他社さんから見れば

「変わったやり方してるな。」

とか、

「それは違うんじゃない?」

と言われるかもしれない。

何をもってして正解かの定義は1つでは無く、世間一般的に成功しているお肉屋さんの数

だけ正解があると言えるだろうか。

そう考えると、私たちのやり方は、

【うらい流肉処理術】

このように定義出来るかもしれない。

仕事の幅

近年の肉屋は分業が進み、1軒で全ての仕事を賄う事がほとんど無い。

例えば、牛を食肉化するにはまず屠畜が必要だが、この仕事を経験している肉屋の職人は

めっきり少なくなった。昔は屠畜して、皮を剥ぎ、内臓肉の処理をしてからお店に戻り、

骨を取って筋を引き、なんて具合に全ての仕事を経験する事が出来ていたそうだが、現在

ではそうはいかない。ほとんどのお肉屋さんが、骨を取った部分肉の状態で仕入れるところ

からスタートする感じになっている。

そう考えると、仕事の幅は凄く狭くなってしまった。

こういった流れは、仕事の効率化や担い手の不足から来ていると言えるが、私個人の見解では

あるが仕事の幅はとても大切だと考えている。

それは、肉屋の仕事が命と向き合う必要があると考えているからだ。

大げさに聞こえるかも知れないし、個人のエゴかもしれない。

私個人が出来る事などたかが知れてはいるが、せっかく頂いた命を大切に扱う気持ちを持って

仕事に向き合いたいと思っている。

技術に出来る事

ただ単に、肉の塊を切れれば一人前の世界じゃないぜ、とカッコつけたい部分はあるかもだが、

お肉を大切に扱い、活かす事はせっかく頂いた命を、無駄にしない大切な考え方だと私は思っている。

では、その気持ちにどう答えていくか。

肉屋の職人として、命に向き合う為には、何が必要で、何で答えるか。

私は、その答えは技術にあると考えている。

包丁を指先の如く、意のままに扱い肉を切り出していく。

肉を見極め、知り活かし続ける。

自己満足かも知れないが、私はそういう職人になりたいと今も目指し続けている。

“肉屋の技術” への 2 件のフィードバック

  1. 高田 より:

    いいですね。昔、小さな肉卸店のアルバイトで、東京芝浦の市場に連れていかれ、半丸の列に呆然とした事があります。40年も前ですから、畏敬の念を込め、店にも「ああ・・・職人さんだ・・・」と思う方がそこにはいらっしゃいました。「流」と言われるのは、きっとその思いは「人生」だからと勝手に解釈しました。おそらく敢えて言わない「お師匠」がいらっしゃったような気がします(違うかも・・・)。そんな事に敢えては触れず、時を超えて続くだろう「流」に向き合っていらっしゃる姿勢と矜持、この空の下にそんな方もいらっしゃると思うと、世界が美しく素敵にみえて来てしまいます。無名の応援者と思って下さい。

    1. アバター画像 川村将紀 より:

       おおおー( ;∀;)初コメントありがとうございます!!!!!私の駄文にこのような反応を頂けるとは。感激、感涙です!

       芝浦は現在も日本で最も大きい屠場です。品川駅のすぐそば、都心にあんな場所があるなんて私も未だに驚きですね。
       その昔は牛肉の輸送が鉄道だったらしく、その由縁であの場所にあるそうです。

       さて、私の様な若輩者が”流”について語るとは、非常におこがましいとは思いつつ、先細り続ける職人の手に一石投じれればと思い書きしたためました。

       師匠は…沢山居ます(笑)あれもしたい、これもしたいで、あちこちのお肉関連場所に顔を出し続けておりますゆえ。今のお肉屋さんは昔と違い、分業制になってしまい、屠畜解体出来る職人は本当に数えるほどになってしまいました。ほとんどの専門店で罰骨も行っていない現状になりましたので、1社で修練できる幅が狭まってしまっています。

       で、一番全般的に教えて頂いた師匠は、元気に今も現役です。自らのお店で今日も包丁を振るっているかと思います。その方には肉屋の仕事を1から10まで教えて頂きました。神戸の某大手精肉店で長年勤めてから独立された方ですが、そう考えると私の仕事の根底はそこにあるのかもしれません。

       昨年末、仕事でその精肉店の社長さんとお話しする機会があり、肉職人について語り合ったのですが、師匠から教えて頂いた事が現在も脈々と受け継がれている様で、とても心に残った事を覚えています。師匠が現役で働いていた頃は、現社長がまだ幼稚園に通っていたそうで、送り迎え良く行ってたわ~って言ってました。

       私も肉屋で勤めて20年が過ぎ、そういった時代の流れが感じれる様になったのだと思うと、少しは成長しているのかな、と思っています。ご期待に沿えるよう、日々精進して参ります!

       喜びの余り、長文失礼いたしました。

       コメントありがとう御座いました。

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