「美味しい~!」
「また食べたくなって・・・。」
このような評価を頂いている、うらいの和牛。
このお客様からのフィードバックが私たち肉職人を支える源泉だ。
そして、その期待に応えるべく美味しくなる牛肉を仕入れる様に心掛けている。
小売店である、和牛うらいの美味しいへの取組のスタートは仕入れである。
もちろん、磨き抜かれた技術による筋引き(肉磨き)や熟成、そしてカット
から保管まで、美味しいに関わる様々な技術があるのは間違いない処である
が、スタートを間違えてしまうと世界最高の職人だろうが辿り着く場所は
知れてしまう。おっと、大切な骨を取り除く、捌きも忘れずに。
あくまで、スタートから一貫して自社の目標とする価値観に沿って
仕入れる事がとても重要だ。その為にうらいでは自社独自で定めた
厳しい仕入れ基準を設けているが、この項目の中で特に重要視して、
かつこの見極め、目利きの難しいのが”照り”と、”肉色”の2つだ。
照り、肉色ともに現行の評価基準に含まれているのだが、照りは
1~5の5段階、色は1~7に分かれており、照りに関しては余程問題のある
和牛肉でない限り4及び5の評価が専らで、色に関しても中間の4を境目
に1の上下、つまり3・4・5のいずれかとなるのが現代の和牛肉常識だ。
この数値以外の肉色や照りが示すものは、飼育中に著しいストレス
が掛かった事を示し、この違いが一目で解らない様であればどんな食肉関連
の企業であれ、仕入れ業務を勤める事は難しいだろう。一部、敢えて仕入れる
事業者さんも居るだろうが、これは加工用として割り切った仕入れのはずだ。
或いは、生産者さんとの深い繋がりがある、それら確固たる理由がある場合だろう。
先ずは照り。
これはあらゆる光源下でも、見極めれる様に十分な訓練が必要ではあるが、
この照りの良いものを選別出来る様になると、格段に仕入の質が上がる。
肉からの照りを目で判定する訳だが、食肉中のある成分が関与していると
言われている。それは筋肉中のグリコーゲン。
ただし、グリコーゲンは屠畜直後、つまり死後の自己消化により急速に
失われていくので比較的早い段階で見極める必要がある。慣れてくると、
その照りの特徴で、同じ生産者でかつ、異なる屠畜場で処理した枝肉の
選別も可能だ。そして照りは死後2週間程度経ってしまうと目利きにおける
有力な情報源として頼る事は難しいと実感している。これは科学的な根拠
と同じ結果を示しており、優れた肉職人の目利きと一致している。
それに裏付けされる様に、グリコーゲン含有量が豊富な血統の選別と
産出に重点を置いた血統の評価、育種価というものだがそれを取り入れ始めた
都道府県もある。(鳥取県)まだ試みは始まったばかりなので、今後この取り組み
がどの様な影響を及ぼすかは現時点での断定は出来ないが、和牛肉の差別化に
いずれ寄与していくと私は考えている。
なお、社会実装に至っていなくとも研究室レベルの話となれば、確か岐阜県の
農林水産関係の所が取り組んでいた論文は目にしたことがある。兵庫県としても
ぜひ、着目してみて欲しいと思う。
次に色であるが、これはあずき色が最も好ましい。
これは昔から言われている事で、目新しい事では無いのだが生化学的には
筋肉中のミオグロビン濃度と質に関わっている。この昔からの言い伝えを
科学的な調査で明らかにしようという流れは私も良く知る兵庫県の研究者が
取り組んでいるが、今のところ際立った成果はまだ見られない。単に濃度の
問題ではなく、複数の因子が関わっている事が成果の発見に繋がっていない
のかもしれない。
なお、あずき色は酸素残存化の好気的な発色した状態と、真空包装した嫌気的
条件の場合と両方の状態で見極めれる必要がある。枝肉では判別出来るけど、
部分肉になったらわかんない、では仕入れ業務担当失格である。
和牛肉の品質判定に、肉職人が用いている
肉色
と、
照り
について、簡単な解説でした。
これらを目利きしうらいの和牛は仕入れしています♪