和牛うらいで職人体験(^^♪

ここ数年、同業他社さんや、業界関係者の方からの研修依頼が増え続けている。これは、とてもありがたい事であるが、なぜ増えているのかと考えてみた。

お肉屋さんの数

そもそも、受け入れを行っている事業者さんの数が少ないから、というのが一番お伺いする理由。

お肉屋さんは、産業分類で”食肉小売業”というカテゴリに入り、現在の国内での登録数は1万件ほど。全国の自治体の数は、2千弱なので1自治体当たり5,6軒のお肉屋さんがある計算になる。加古川は食肉センターを有する地域柄、お肉屋さんの軒数は平均より多くなりますが、当社の会長に聞いたところ、今から50年前はなんと50軒以上あったらしい。今では半分以下になってしまいましたが。(;^_^A

受け入れない理由

どの業界でもあり得る話ですが、自社の取り組みや技術、特許を含む知財などは、会社の根幹を成す重要な部分であり、それら情報や技術の流出を恐れ、受け入れないなどの理由があると思われる。

例えば、マクドナルドのミートパティ。スターゼンという、皆さんは聞きなれない会社が製造している。この工場は茨木にあり、日本最大の外食産業があのミートパティを、どのように製造しているのか気になり見学を申請しましたが、キッパリとお断りされた過去がある。更になんと、製造者であるスターゼンの人間ですら、勤務していない者の入場に厳しい制限がかけられているそう。ノウハウの流出は、時に会社の根幹を揺るがす事態を引き起こすので、このような処置をして守っているのだ。

私達に当てはめて考えてみると、総菜や加工品のレシピ、肉に対する処理、熟成の方法など上げればキリが無いほど色々。まあこれはどの業界でもあるかと思いますが。

しかし、これらのデメリットを上回るメリットもある。

技術を伝える難しさ

貴方の業界や仕事でも、習得するまでに年月を有する技術はあるだろう。私達の業界で言えば、それは包丁の技術だ。これが本当に覚えるのに時間がかかる。私は職人になって20年経つが、未だ理想に到達していない。まあ、私の理想の話はどうでもよいのだが、包丁のコントロールという、主観的なモノを伝える難しさを感じた事は、誰しもあるのではないだろうか。

このような伝えにくい事を、上手く伝える方法がある。それは、伝える事だ。少し禅問答の様な話になるが、伝えるのが難しいのは、伝えていないからだとうらいでは考えている。

伝えるというのは、感覚の共有である。感覚は実践から生まれる知識であり、この成長曲線はスポーツの様な物であると言われている。誰しもいきなりメッシのようにドリブルは出来ないし、大谷のような二刀流にはなれない。練習の積み重ねが、結果となって現れる。

しかし、その練習をより効率よく、理論的に行う事が出来ればより早く、より上手く出来るようになる訳で、これはコーチや監督の立場にあたる。更に、教える事で自分自身の技術が上がる。というか、レベルアップに関して言えば、教わるよりも教えている方がレベルアップすると言われているぐらいだ。

このような背景から、うらいが研修の受け入れを行うのはずばり、自社の職人(選手)のレベルアップの為、と言っても過言ではない。これがメリットである。そして、「うらいで研修すると凄く勉強になるね!」なんていう口コミが広がるので、更に沢山の依頼が来るわけだ。

最短1日~最長数年

研修期間はお相手先の事情により異なるが、とりあえず体験したい!っていう最短1日から、一人前の職人になるまで!という数年のものまで様々だ。この期間内に適したプログラムを組み立て、経験を積んで頂く。慣れないうちは内容の詰め込み過ぎやスカスカ、相手の希望と異なるプログラムだったりと、上手く出来ないことも有ったが、これも実践を通じてレベルアップしていき、研修に来た方がどうなりたいか、という事の感度がとても良くなっている。

私達も学べる

これも大きなメリットの1つで、他社さんの取り組みを学ばせて頂けたり、異業種の方の場合は私達の知らないお話しを聞けたり、その後のビジネスに繋がったりといいことづくめ。このように外部から新たな刺激を取り入れ、自分達の進化に循環させるのも見逃せない重要な点だ。

逆の立場なら。。。

意欲があるのに、機会が無い。なんてことが逆の立場になって考えてみれば、それはとても残念な事だ。かつてはお肉屋さん向けの専門学校が全国に数十か所あり、学ぶことが出来たが今では日本全国で2か所しかない。このような状況の中、自分達の業界に貢献し後進を育てていく事は、関わる物の責任ではないだろうか。持続可能な業界を作る取り組みとして有名なのは、名古屋にある、肉のスギモトさんの学校が有名だ。あくまで自社の人間が対象のようだが、学びの機会を提供し、カリキュラムを作っている取り組みは、特筆に値する。私達も見習いたい。

そして1番の理由は・・・

減り続ける肉職人

何とかしたい。これが1番の理由。

牛(枝肉)を買う。骨を取る。筋を引く。昔のお肉屋さんでは当たり前の様に行われてきた取り組みですが、今ではこういった仕事を行うお肉屋さん自体が無くなっています。

少しでも、肉業界が元気になれば!!

骨付き豚肉 皮を剥いでいるところ

写真の方は、先日お越し頂いた双日株式会社の方。ベトナムで乳牛を育てるプロジェクトに取り組んでいらっしゃいます。お肉屋さんの仕事を一通り体験して頂く内容で、3日間学んで頂きました。

豚トロのカット
スライス作業 肩バラ

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