前回のその➀では、捌きを行う理由を

美味しい状態へ肉をコントロールする為

と書いた。

 では、せっかくなので私が思う、小売業における捌きのメリット、デメリット

を今回は纏めてみようと思う。


捌きのメリット

  • 肉のコントロール(捌きのタイミング・磨きのタイミング)
  • 原価率のコントロール(直接、間接的な歩留まり向上・部位別原価設定)
  • 技術に関する内容(継承・向上・研究・やりがい)
  • 製品サービスに関する事(開発・品揃え・品質・口コミ)
  • 熟成に関する事(肉のコントロールに通ずるが、主に骨付きで行う好気的な熟成)
  • 仕入れに関する事(選び方・ノウハウ・駆け引き・取引・優遇など)

 ざっとあげてみても、かなりの利点が見いだせる。

では、反対にデメリットはどうなのか。

捌きのデメリット

  • 場所の確保(部位が大きいので広いまな板を占有する)
  • 技術者の育成(小売店ベースだと育つまで数年、それまでは企業の負担)
  • 技術者の確保(そもそも捌ける職人がほとんどいない現状)
  • 育成のメソッド(捌きをしているだけでは儲からない)
  • 仕入金額が大きい(キャッシュフローの圧迫、1頭あたり100万円は普通)
  • 冷蔵庫の占有(1頭あたり300kgの肉が産出されるので、保管場所)

 

 ざっと上げてみたが、主なデメリットは

 場所・時間・資金・人財

など、あらゆる商売で大切にしなければならないものが含まれていた。

捌き出来るようになるまで時間がかかるし、育つまでは会社の方が

負担の大きい仕組みだ。更に、必要とされる資金も多くなり、キャッシュフロー

は厳しくなる。また、一度に沢山の肉が産出されるので保管や販売にはそれなり

のノウハウが必要となる。

 意外と大変なんやわ、捌きって。

書いてみて気が付いた。

 私が入社した20年前、実はうらいで捌きは殆どしていなかった。

入社して間もないころに、現会長の友達が良く会社に来ていた。

その人は当時、地元企業の捌き部門を請負で行っている会社の

社長さんで、今は同じ小売りの仕事をしているが、色んな事を

この方から教わった。

 ある日、この方から

「うちの仕事見てみるか?」

と言われ、興味本位で行った時に見た、職人の姿がめちゃくちゃ

カッコ良くて

「俺も捌けるようになりたい!」

と強く思った。

 うらいではほとんど捌きをしていなかったので、このカッコいい

捌きを覚えるには、この人の会社に行くしかないと思った私は

うらいの仕事が終わってから、夜な夜な通い捌きを習った。

 また会社の定休日は朝から伺い、まあ当時はほとんど何も出来なかった

のでめちゃくちゃ邪魔になっていたと今になっては思うが、ひたすら捌き

を覚えた。それでも本業として習う訳では無いので、なかなか覚える事は

出来ずに全ての部位を覚えるまでには4年ぐらいはかかったと思う。

 捌きについて書いていると、修行時代というか、若かりし頃を思い出し

懐かしい気持ちになった。あの頃はなんて言い出すと、もうおじさん

になっているという事になるかと思うが、当時は夜の8時でも捌きていた

訳だし、今ではブラック過ぎて無理だろうが、そういう技術を無理を

すれば覚えれる環境が周りにあった。

 今、会社で若い子に捌きを教えている時に感じるのは、

理不尽なぐらいの量をこなす環境が無いな、当時は大変だった

けど、あの時間があったからこそ覚えれたんだなあという事。

 卸売事業者さんなら、1日に数十頭を処理するので、各部位を覚えるまでに

係る時間が少ないだろうが、小売店のうらいでは捌きは1日半頭や1頭。

これでは覚えるまでに時間がかかり、かつ捌かない日もあるので慣れる

までの時間が更に必要となる。

 それでも、肉屋は骨付き肉を扱えて一流、

肉職人は骨付き肉を扱えて一流

そういう環境で育ってきた私は、難しくとも捌きを続けていきたい。

まあ、捌きが出来るよりより沢山のお肉を売れるのがほんとの

一流なんだろうけど、ね。

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