【雨のオークション】

―段取りは、だいたい崩れる♥―

オークション当日。
朝から、空の様子がおかしかった。

雨、というより、春の嵐。

まあ、事前の天気予報で想像はしていたが、風が強く、会場周辺の空気が落ち着かない。

そんな私もどこか落ち着きが無かったかのように思う。

こういう日は、だいたい何か起きる。

そしてその予感は的中し案の定、設営が押していた。

本来なら整っているはずの導線がまだ出来ていなかった。

私が出店するスペースは、まだ荷物も卸せていない状況だった。

正直に言うと、めちゃくちゃ焦った。

「間に合うのか?」

頭の中で何度も同じ言葉が回る。

ただ、こういう時に出来ることは、実は多くない。

一つずつ、潰すしかない。

目の前の作業に集中する。
判断を遅らせない。
迷ったら、動く。

それだけだ。

不思議なもので、現場というのは、ある瞬間から流れが変わる。

それは、自分の判断だったり、周りの方の気遣いだったり、

誰かの協力だったり、それは複合して周り始める。

誰かが決めているわけではないのに、少しずつ歯車が噛み合ってくる。

人が動き出し、声が通り、空気が「回り始める」。

あの感覚は、何度経験しても面白い。

私の出展ブースのお隣は、JA兵庫県本部さん。

鉄板焼きで、神戸牛の焼肉を振舞う予定だったのだが、

その鉄板を少しお借りして、開始までの」事前に

予定していた調理を始めた。

そして、それが自分の考えていたより、遥かに早く終わったのだ。

「よし、これでいける!」

神戸ビーフタコス(谷口牧場さん)

気がつけば、会場は熱を帯びていた。

その中で、ひときわ動いていたのが——タコスだ。

なぜか、出る。

とにかく、出る。

想定していた数を軽く超えて、次々と出ていく。

正直、理由は完全にはわからない。

雨だったから?
動線の流れ?
あるいは、ただ「そういう日」だったのかもしれない。

ただ一つ言えるのは、

現場では、理屈よりも「流れ」が勝つことがある、ということだ。

用意していたものが出ない日もあれば、
予想外のものが主役になる日もある。

それでも最終的に問われるのは、

その流れに、乗れるかどうか。

準備は必要だ。段取りも重要だ。

でも、それだけでは足りない。

崩れた時に、どう動くか。

その方が、よほど結果を左右する。

準備は決して順風満帆ではなかった。

むしろ、崩れかけていたと言っていい。

それでも、最後には形になった。

むしろ、少しだけ面白い形で。

現場というのは、そういうものだと思う。

完璧に整った日よりも、
少し崩れた日の方が、記憶に残る。

雨のオークション。

あの日は、

いや、あの日も間違いなく「いい現場」だった。

オークションの現場の様子はまたの機会に・・・

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